G1ラボ - デジタルマーケティングを研究する為の備忘録

これからのデジタルマーケティングは技術と方法に加え、OfflineとOnline、HardwareとSoftware。6軸+αの時代を生きるデジタルマーケッター

コミュニケーションのアウトカム

最近、電通PRが採用して話題になったバルセロナ原則。従来の広告換算値を否定して、新しい広告の価値評価を求める事をうたっている原則ですが、その中で使われている「コミュニケーションのアウトカム」というものをどう解釈し、扱っていくのかが重要であると思っています。

まず「アウトカム」とはなんでしょうか。辞書によりますと「成果・結果・目標・評価指標」などという言葉があがってきます。コミュニケーションのアウトカムというのは、コンテンツが行なったユーザーへのコミュニケーションに対する結果という捉え方ができると思います。

例えばFacebookでいえば、Aというコンテンツを投稿した時にどのような反応をもらえたか、Bというコンテンツを投稿した時はどうか・・・など1つ1つに対する反応を調べれば1つのアウトカムは得られます。それを絶対評価で判断する場合もあれば、相対評価で判断する場合もあります(絶対評価の基準もまた究極で言えば相対評価の結果から出ているわけですが)。このように、目に見える評価(いいね!の数など)によって日々のアクションへの評価をすることができるわけですが、この評価だけでは完全ではありません。これだけだと、どうしても「定量評価」の色が強過ぎてしまうわけで、実態を掴み切れていないケースが多いのです。たとえとしてはふさわしくないかもしれませんが、前回のアメリカ大統領選挙世論調査などの定量調査ではヒラリークリントン氏が有利と言われていましたが、結果として「隠れトランプ支持者」が予想をはるかに上回る数で存在し、トランプ大統領が誕生したこともまた定量に頼りすぎることのリスクを表していました。

では、それを補う評価は何かといえば、定量に対するものとして「定性的」なものになります。いわゆる「意見」というものですね。ソーシャルリスニングという単語にもありますが、SNSなどのFacebookなどのツール上ではコンテンツに対するコメントの中身を分析することができます。これらも意見になりますので分析をすることで様々な情報を得ることができ、コミュニケーションのアウトカムに対する価値は上昇します。

しかし、それらのコメントについての分析も必要ですが、やはりFacebookなどのツールから外れたゾーン、例えばネットではなくリアルな世界でのヒアリング力も重要です。

現実的には不可能ですが、もしアメリカ大統領選挙でFace to Faceで記者がアメリカの有権者全員にヒアリングできていたら、トランプ勝利の予測をするメディアはもっと多かったと思います。会話によるヒアリングとは、質問者の能力によってその信憑性が大きくあがります。表向きはクリントン氏と言っていた人も、誘導尋問に近い形のハイレベルな質問を行えば、トランプ寄りであるということが露呈してきます。そこでより現実的な実態を掴むことができてきます。

つまり、このように様々なツールを用いた定量と、レベルの高いヒアリングを持つ定性の双方における活動を同時に線で結びつけて考える仕組みがこれからのマーケティングでは必要となります・・・と声高らかに書きたいところですが、このようなことは以前からも言われていた当たり前のことでもあります。ただ、最近のデジタルマーケティングの病的なほどの熱狂によって定量調査手法が爆発的に支持を受けていたので定量と定性のバランスが崩れており、定性を改めて強調せざるをえない状況にあるというのは間違い無いでしょう。

コミュニケーションのアウトカムというものを評価する際は、定量評価とその手法、及び定性評価とその手法をいかにフェアに扱うかが重要になりますね。そのどちらかに偏り過ぎると、とんでもない思い違いの評価をしてしまうリスクがあります。