G1ラボ - デジタルマーケティングを研究する為の備忘録

これからのデジタルマーケティングは技術と方法に加え、OfflineとOnline、HardwareとSoftware。6軸+αの時代を生きるデジタルマーケッター

"1回の目視を大事に"というFacebookの考えかた

人類が登場して以降、"取引"は物々交換に始まり現在のお金との価値交換にまで至ります。その"交換"は人間の「本能」「欲求」へのアプローチに成功した時に成立する行為であり、それは古代も現代もかわりません。そういう意味では人類が登場してからの長い間の取引の経験は、オンライン広告に必須の経験値になるのだと思っています。

Facebook Collectionは4種類のアイテムを表示―ショーウィンドウ的モバイル広告が登場 | TechCrunch Japan

 Facebookはオンラインの世界において最も成功をしたと言える「バーチャルホーム」です。仮想現実の世界にリアルをシンクロさせて交流するといえば、セカンドライフが一時期ブームになると言われていましたがブームになることはありませんでした。しかしFacebookセカンドライフの持つ煩雑なこと、例えばバーチャルな中に資産を持つなど「努力しないと得られない」価値を一切除外し、最初からバーチャルの中に誰もが対等に得られる価値を提供し、どんな人でも手軽にバーチャルな世界で住める場所を提供しました。SNSという名前でFacebookを語ることが一般的ですが、あれは形を変えたバーチャルコミュニティの世界です。

セカンドライフは一気に資産価値など、人間の欲にタッチする施策を盛り込みすぎたのかなと思います。それが人々に「めんどくささ」「第三者意識」「お金がないとできない」などの誤解を与えてしまったような気がします。

その反面、Facebookは単純な「交流」だけで長い間、ユーザーの心を繋ぎ止めておき、ユーザーの定着率や数が安定して来た段階で広告などのビジネスを本格化させました。イメージでは「Facebook依存が高まれば離脱が少ないだろう」という狙いではないかと思います。

そんな中で、Facebookは様々な広告手法をFacebookの世界に投入して来ました。一般的なバナーを見せる広告はGoogleなどのWEB広告と同じです。しかし、その広告方法が「よくない存在」というイメージをユーザーが持ち始めている昨今、Facebookが模索しているのはオフラインの世界、つまり人間が数千年以上の歴史の中で培って来た「取引」のノウハウなのだろうと感じています。

今回、Facebookが投入してきた「コレクション」はまさに人間がオフラインの世界で買い物をするシチュエーションをうまくキャッチアップしていると思います。

www.facebook.com

 

百貨店や専門店で道路に面するディスプレイを担当する店員達と会話をする中で、ウィンドウショッピングで、人は様々なショーケースの前を歩いた時、その時に目にする商品点数は1回の目視でだいたい2〜5点程度ではないかという事に気がつきます。その1回の目視で気になるものがあれば人々は足を止めて手に取ってみようか、店舗に入ってみようかなどの次の選択肢を持つということです。

その視点で言えば、今回のFacebook correctionという広告手法はその1回の目視の質を高めようという考え方でありオフライン店舗のコツをうまく取り入れているような気がします。そしてオンライン広告のあり方に一石を投じるかも?しれません(大げさかもしれませんが)。この機能を使って、実店舗を持つ企業は、Facebookページ運営に店舗のディスプレイ担当者を参加させてみるといいかもしれません。Facebookページを見る人も、店舗のショーケースを見にくる人も同じ人間です。同じ考え方を使えるケースは多いと思います。これまではオンラインの知識がないからと蚊帳の外だったオフラインの名手達が活躍する場を得られる機能ではないかと思っています。

 

実は、様々なFacebookページを見ていると「上手なPR」ができている企業は「オフラインマーケティング」が上手な企業に多いと感じています。やはりオンラインは「技術」にすぎず、考え方は「オフラインマーケティング」の経験に準ずるべきなのだろうと思っていますし、オンラインは1つの手法に過ぎないと捉えるべきであると考えています。