G1ラボ - デジタルマーケティングを研究する為の備忘録

これからのデジタルマーケティングは技術と方法に加え、OfflineとOnline、HardwareとSoftware。6軸+αの時代を生きるデジタルマーケッター

VR+AR+ 自動翻訳の抱える未来

VRとAR、目に見える世界で自動翻訳機能を提供するというのは夢のある話ですね。 

VR/ARを繋いだ空間で翻訳機能を使い、言語の壁なくコミュニケーションが取れる「Project Sonata」を発表

 

しかし、自動翻訳機能というのは長年研究されている領域ですが未だに完成品と言われるものがありません。それは自動翻訳の持つ現実と、それを司る産業に問題があります。

自動翻訳というのはその名の通り、翻訳したい言葉を翻訳する機能です。「こんにちは」と言ったらデータベースが「Hello」や「Hi」のいずれかで返す必要があります。「やあ」と言っても「Hello」や「Hi」のいずれかになります。文脈を読んだり雰囲気を読んだりして「翻訳候補」から的確な単語を抽出する必要があります。

例えばクレーム対応の訪問時に英国人が翻訳機能を使ったものの「Hello」を「やあ」と翻訳されたら相手の日本人は決して良い気分にはなりません。

私の持論ですが、自動翻訳には「高度な言葉のデータベース」の他、「表情認識」「音声認識」で喜怒哀楽を把握する機能があると思います。人間にとっての会話とは脳が司っているわけですから感情と100%関連性を持ちます。例えば眉毛が八の字になって高めの声で速度が早い場合は「怒っている」という想定になり丁寧な言葉を選び出すというレベルまで高められなければ本当の意味での自動翻訳とは言えません。

しかしここでもう1つの問題とぶつかります。現在の翻訳ソフト会社、翻訳会社ではそこまでの開発能力を持っていないのです。自動翻訳を人工知能とくっつけて考えようとするのは翻訳会社ではなくむしろGoogleなどのようなIT企業です。しかしIT企業には翻訳のデータベースの細部のノウハウはありません。

ではどちらかが買収をして吸収するかといえば、その将来性がどうなのかという疑問があります。完璧な自動翻訳機能は完全な先行者利益です。どこかの企業が最初にルールとロジックを作り出せばそれが世界の基準となっていくことになります。そうなるとその公益性から収益性を考えることは難しくなっていきます。

もう1つはそれだけの能力を持つ自動翻訳機能を世界が許すかどうかですね。翻訳できてしまうということは良いことばかりではありません。ITによって世界の可視化が進んだことで政府の転覆が容易になりました。ここに完全な自動翻訳機能がつくことで世界のニュースなどの映像や音声が瞬時に翻訳されるようになります。それを望む政府がどれだけこの世界にあるのかは疑問です。

しかしVRとARが自動翻訳と繋がり始めたというこの冒頭のニュースは、そんな世界に入っていく第一歩目でもあるかと思います。VRとARの機能を持つカメラが表情や音声を認識するようになれば・・・。

これが完成した時が本当の意味でのボーダレス世界開始なのでしょうね。